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【マクロ】第5回 乗数効果と政府支出

1.乗数効果



(1)モデルの基本設定(政府部門のない場合


■政府部門を考慮しない経済モデル       …前回の復習

    ・財の総需要YD、家計の消費C、企業の投資I、政府支出G

    ・消費関数:C=a+bY a: 基礎消費 、b: 限界消費性向、ただし a > 00 1

    ・投資関数: I = Ī



■このときの所得決定式;

    ∴ 𝑌={1/(1b)}×( a + Ī )



■これが成立するYは、財市場を均衡させる 均衡国民所得 Y*


    5.1 45度線図(政府部門がない場合)

埋め込み画像 1


(2)乗数効果

■いま投資 Ī 1単位増加( ∆Ī= 1 )したとする。このとき均衡国民所得は

 ∆Y=1/(1-b)×∆Ī

 より 1/(1-b) 増加する。

0 ≤ 𝑏 ≤ 1なので、1≤1/(1-b) 。つまり「1単位の投資の増加によって、1単位以上の国民所得が増加する」。 =「 投資の乗数効果*

■このときの 1/(1-b) を投資乗数と呼ぶ。 投資の変化量の何倍国民所得が変化するか。


    5.2 投資の拡大(Ī+1= I1  )と国民所得の増加

埋め込み画像 2


*乗数効果の意味

■「限界消費性向 b = 0.8 のとき、投資乗数 1/(1-b) = 5 」とはどういうことか?

■たとえば、1兆円の追加的な投資が行われたとき、

1兆円の投資需要増加 → 1兆円の生産増加 → 1兆円の所得増加

  → 8000億円の消費増加 → 8000億円の生産増加 → 8000億円の所得増加  

  → 6400億円の消費増加 → 6400億円の生産増加 → 6400億円の所得増加 

  → 

 

 所得の増加は、

      1兆円+8000億円+6400億円+、、、 =5兆円

 ∴ 「1兆円投資が増加したとき、その5国民所得が増える」


2.政府部門のある所得決定モデル

(1)モデルの基本設定(政府部門のある場合)

■経済モデルを単純化するために、以下を仮定する;

    i)市場は財市場のみ。(労働市場と資産市場は無視)

    ii)経済主体は家計企業政府

    iii閉鎖経済(海外部門は無視)

■財の総需要YD (=国内総支出)の定義;家計の消費、企業の投資、政府支出Gとすると、財の総需要YDは、

    YD=C+I+G


(2)政府財政:政府支出と租税

■政府の財源として租税 TTaxとすると、消費関数は、

    C = a + b ( Y - T )  

 となる。ただし a > 00 ≤ b ≤ 1

このとき、 ( Y - T )  は可処分所得disposable income、経済主体の手元に残った処分可能な所得)

 

■政府財政について、政府支出G と租税 T(=税収、政府収入) より、

    G = T のとき、財政均衡 balanced budget)

    G > T のとき、財政赤字 budget deficit

    G < T のとき、財政黒字budget surplus

 

(3)政府部門のある場合の市場均衡

■消費関数 C = a + b( Y - T )と投資関数 I = Ī を代入した財の総需要YD  、総供給YSの定義、そして財市場の均衡条件式より、

    YD= a + b( Y - T ) + Ī +G

    Y=Y

    Y= Y 

 これらの式より、

    Y= a + b( Y - T ) + Ī +G

     ∴ Y* = {1/(1-b)}×( a - bT + Ī +G )

 このY*が政府部門のある場合の均衡国民所得


(4)政府部門のある場合の乗数効果

■政府部門のある場合の均衡国民所得の決定式より、

    ∆Y/∆G = 1/(1-b)  政府支出乗数.

    ∆Y/∆T = -b/(1-b)    政府支出乗数.

    ∆Y/∆G+∆Y/∆T = 1/(1-b)-b/(1-b)=1  均衡財政乗数.


<参考文献>大野裕之『マクロ経済学のエッセンス』創成社

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じゅん

Author:じゅん
中東経済、企業金融が専門の研究者。UAE・アブダビから帰国しました。
Researcher:Middle Eastern Economy, Financial Development, and Islamic Finance
باحث: الاقتصاد في الشرق الأوسط، التنمية المالية، والتمويل الإسلامي.

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