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UAE財政と付加価値税導入の影響(第5回)ー付加価値税は税収を増加させるか

3.        付加価値税導入の影響


本節では、前節の発展途上国における付加価値税の導入などの税制の導入についての知見をもとに、UAEにおいて付加価値税などの新税が導入された場合、経済・財政への影響について推察を行う。


第一に、指摘しておかなければならないことは、UAE財政構造の中で税を財源とする収入のシェアは小さく、5%の付加価値税が導入されることで大幅な税収の増加がすぐさま見込まれるわけではない点である。2012年のデータによるとUAE財政全体の政府収入4949億ディルハムのうち石油収入が3958億ディルハム、非石油収入は989億ディルハムであり、石油会社以外からの法人所得税13.5億ディルハム(政府歳入の0.27%)に過ぎない(注1)

なお、法人所得税による収入は2000年以降増加傾向にあるが、政府収入に占める法人所得鋭のシェアは0.20.5%の範囲で変動しているに過ぎず、これまで法人所得税は主要な財源にはなっていなかった。関税収入についても2012年には111億ディルハムで政府歳入の2.2%である。政府収入の68割を占める石油収入を除くと、非石油収入は投資収益や手数料収益に支えられてきた。計画通りに付加価値税が導入されたとして、対GDP比率で36%の政府収入(2012年)に付加価値税による税収が同比2%前後加算されるという計算になる。

ただし、付加価値税導入直後の税収の増加はわずかだとしても、より長期的に見れば、経済発展に伴い消費市場が成熟することで課税対象が拡大したり、付加価値税率が引き上げられることで付加価値税からの税収が増加する余地は十分に残されている

(注1)産油国の政府収入の構造については、単に石油収入に依存するだけではなく、極端に石油収入に依存し、同じく極端に税から解放されることが指摘されている(ロス,2017:pp.27-28)。ロスによれば、産油国の石油部門は平均してGDPの19%を生みだすが、政府予算についてはその石油収入が54%を占める。UAEの石油部門についても、GDPのシェア以上に政府収入のシェアは大きい。

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じゅん

Author:じゅん
中東経済、企業金融が専門の研究者。UAE・アブダビから帰国しました。
Researcher:Middle Eastern Economy, Financial Development, and Islamic Finance
باحث: الاقتصاد في الشرق الأوسط، التنمية المالية، والتمويل الإسلامي.

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