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UAE金融機関によるガバナンス強化の取組み(2/3)

2. UAE金融機関の取締役会の構成

 首長国家と有力財閥ファミリーは、UAE銀行を株式所有の面でしばしば大口株主として大きな役割を果たす(齋藤[2015] )。そして、大口株主である彼らは金融機関の取締役に選任されることも多い。表2は2012年末におけるUAEの資産額上位10銀行について、取締役会の構成を示したものである。最大手のエミレーツNBD(Emirates NBD)とアブダビ国立銀行(National Bank of Abu Dhabi)は、それぞれ首長国家であるマクトゥーム家とナヒヤーン家から取締役を選出しており、Emirates NBDについてはマクトゥーム家の一員(H.H. Sheikh Ahmed bin Saeed Al Maktoum)が取締役会長に就いている。このような首長国家の一族が金融機関の取締役会会長に就任するケースは、UAEでは資産規模上位行に限らず中規模・小規模金融機関でもしばしば観察される 。

表 2 大手金融機関の取締役会の構成(2012年12月31日時点)

 首長国家メンバーと同様に取締役会で大きなシェアを占めているのが、財閥ファミリーである。金融機関の大口株主である財閥ファミリーが取締役会に人員を送り込み、金融機関の運営に積極的に関与している。ただし、特定の財閥ファミリーが取締役会の大部分を占有し、経営陣に対して強力な発言権を持つということは、UAEの場合あまり観察されない。なぜなら、UAE金融機関の取締役会は、主に首長国家、複数の財閥ファミリーから構成されており、マシュレク銀行(Mashreq Bank)を除き 、単一のファミリーで占有されることは少ないからである。たとえば、アブダビ商業銀行(Abu Dhabi Commercial Bank)では、取締役11人のうち5人が財閥ファミリー出身者であるが、Al Khouri家、Al Dhaheri家、Al Khoory家、Al Suwaidi家といった4つの家族の出身者から構成される。

金融機関経営の監督と執行の分離についても、包括的なコーポレート・ガバナンスの取り組みの一環として進みつつある。金融機関の株式を保有しない独立取締役(independent director)を設置し、積極的に年次報告書やホームページなどに明記する金融機関が増えている。エミレーツNBDやアブダビ商業銀行のように上位銀行でも独立取締役を未設置(あるいは設置していても明記せず)であるケースは依然として多いが、ユニオン国民銀行(Union National Bank)やアブダビ・イスラム銀行(Abu Dhabi Islamic Bank)など、積極的に独立取締役を採用する銀行も増えている。また、経営に参画しない社外取締役(Non-Executive director)についても近年、増加傾向にある。
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じゅん

Author:じゅん
中東経済、企業金融が専門の研究者。UAE・アブダビから帰国しました。
Researcher:Middle Eastern Economy, Financial Development, and Islamic Finance
باحث: الاقتصاد في الشرق الأوسط، التنمية المالية، والتمويل الإسلامي.

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