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【企業】星野妙子. (2004). 衰退か退化か-岐路に立つ発展途上国のファミリービジネス. In 星野妙子 (Ed.), ファミリービジネスの経営と革新-アジアとラテンアメリカ (pp.3-28). アジア経済研究所.

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[日本][企業統治]日本企業の統治構造の問題点

空文化した東芝の企業統治のニュースが出ているが、こうしたことは昔から指摘されていた。

日本の企業統治構造について佐久間[2003]をもとにまとめておく。

■日本の企業間関係の特徴 … 株式相互所有、メインバンク制、役員相互派遣

1. 日本の企業統治の歴史(1990年代まで)
■1992年 証券取引等監視委員会を新たに設置 → 産業界の抵抗で権限・独立性が縮小。
■1993年 商法改正 → 監査役による監査機能強化もあまり効果を上げず。
■近年、外国の機関投資家(1990年代から)や日本の機関投資家(2000年代から)による企業統治活動が活発化?

2. 所有構造と資本市場
■日本の株式会社の所有構造
   ①法人所有比率が高い
   ②大企業間で広く株式相互所有
■日本の資本市場の構造の特徴
   ①経営者間の乗っ取りや敵対的買収を嫌悪
   ②経営者が乗っ取り防止策としての安定株主作り
   ③資金調達に占める間接金融の比率が高かったため「市場の規律」が働きにくい。
   ④金融市場に占める公的部門の比重が大きい。

3. 機能していない統治機関
■株主総会 … 非民主的な運営、多数の株主とのコミュニケーション不足
■日本企業の監査役 … ほぼ機能していない。監査役の人事権を実質的に社長が掌握しているため。内部昇進がほとんどで社内の役員中での序列も相対的に低かった。
■取締役会 … 業務執行とそれに対する監視の2つの機能が未分離。取締役の中に序列が形成。社外取締役が少ないこと、取締役会の構成人数が多いこと、取締役会のメンバーの多くに部門管理者が含まれること
■取締役と監査役の事実上の選任権を握っているのは経営者。

【参考文献】
佐久間信夫[2005]「日本の企業統治構造」佐久間信夫(編)『企業統治構造の国際比較』ミネルヴァ書房、第1章。
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UAEにおけるコーポレート・ガバナンス

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国際会計基準について下調べ

企業会計について勉強するために、国際会計基準についての情報ソース(IAS Plus)にアクセスしてみた。

IAS Plusとは、国際財務報告標準(International Financial Reporting Standards、IFR)*1、国際会計基準理事会(International Accounting Standards Board、IASB)*2と国際的な会計検査の発展に関するニュースとリソースの広範囲なコレクション。

登録すると、以下にアクセスできる;

  • A news page (updated almost daily), as well as an archive of past news
  • An extensive library of global and member firm publications
  • A comprehensive and independent record of meetings of the International Accounting Standards Board, IFRS Interpretations Committee and other related bodies
  • Summaries, analysis, history and resources for International Financial Reporting Standards, International Accounting Standards, IFRIC Interpretations, SIC Interpretations, and other pronouncements
  • A listing of active, past, and research projects of the International Accounting Standards Board (IASB) and the IFRS Interpretations Committee
  • Summaries of financial reporting requirements, use of International Financial Reporting Standards and other updates by jurisdiction
  • A resource library of important information relating to International Financial Reporting Standards
  • Deloitte IFRS e-learning:A leading educational and training resource on IFRS, with over 5.6 million modules downloaded to date
最新ニュースについてはRSSも発行されていたので、あわせて導入した。中東諸国の会計基準についてまとめる予定。先行研究にはNaciri[2011]がある。

*1 国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards、IFRSs、IFRS)とは、国際会計基準審議会(IASB)によって設定される会計基準である。国際会計基準(International Accounting Standards、IAS)は、IASBの前身である国際会計基準委員会(IASC)によって設定された会計基準である。国際財務報告基準は、国際会計基準を含む総称として広義で用いられることもある(Wikipedia)。
*2 国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board、IASB)は、国際会計基準委員会財団(IASC Foundation)に設立された独立民間非営利の基準設定機関である。2001年(平成13年)4月に国際会計基準委員会(IASC)を組織改正する形で設立された。所在地はロンドンである。国際会計基準審議会は、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットの開発を使命とし、国際会計基準および国際財務報告基準の作成をおこなっている(Wikipedia)。

中東北アフリカにおける企業統治システム

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コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンス(企業統治、Corporate Governance)とは、企業が誰のために、誰によって統治されているかに関わる問題である。

企業統治によって、①企業の目的が設置され、②その目的を達成し実績をモニターすることが出来る。

良好な企業統治の下では、①取締役会と経営陣が目的を追求するための適当な動機が提供され、②利害関係者のための効果的なモニタリングを促進することが出来る。

効果的な企業統治システムの存在は、個々の企業と経済全体において、市場経済が適切に機能するための信頼性を提供するのを助ける。


【参考文献】

2014年第1四半期のGCC諸国の総収入TOP10企業

2014年第1四半期のGCC諸国の総収入TOP企業Gulf Business紙(November 2014)に掲載されていた。上位10位は以下の通り。

表1 TOP FIRMS BY REVENUE
RANKCOMPANYREVERUE
H1 2014
(million USD)
COUNTRYSECTOR
1Saudi Basic Industries Corp.(SABIC)25,969KSAEnergy
2Rabigh Refining and Petrochemical7,540KSAEnergy
3Emirates Telecommunication Corp.(ETISALAT)6,150UAETelecommunications
4Saudi Telecom Co.(STC)6,001KSATelecommunications
5Saudi Electricity Co.(SEC)4,682KSAUtilities
6Ooredoo4,533QatarTelecommunications
7Savola Group3,765KSAFood & Beverages
8Etihad Etisalat3,260KSATelecommunications
9National Industrialization Co.2,533KSAChemicals
10Qatar National Bank(QNB)2,500QatarBanking & Investment Services
Source:Gulf Business紙(November 2014)

総収入で見るとサウジのSABICが259億USDでトップ。Telecommunications関連企業が複数ランクインしているのが特徴。

etisalat本店入口1
<Etisalat本社ビル前、2010年10月撮影>

フィリピン財閥間の利権争いでインフラ開発に遅延

Feuding tycoons stunt Philippine infrastructure

MANILA: While Philippine tycoons argue over a typing error in a highway bid and whose shopping mall benefits the most from a train station, commuters are paying the price.

A 47-km expressway connecting Manila to the southern provinces has been delayed by a San Miguel Corp. appeal to President Benigno Aquino after its bid was rejected on a technicality.

Meanwhile, SM Prime Holdings, the group of billionaire Henry Sy, and Ayala Land are fighting over where to build a train station, both seeking to place it closer to their respective malls 600 meters from each other...


http://www.arabnews.com/news/653706


UAE財閥グループの負債リストラと内部資本市場(3/3)

3. UAE企業の資金融通の特徴

(1)GCC企業とUAE企業の資金調達

 UAE企業の財務内容について分析的な研究は、Obay[2012]やBarakat[2008]など極めて限られている。GCC諸国の上場企業に限定して資本構成の決定要因を分析したObay[2012]は、まずマクロ統計からUAE企業はGCC諸国の中では相対的に銀行借入に頼っていたが、株式市場への依存度は小さいことを示した。観察期間である2000-2009年の時期に、民間部門への銀行貸付(対GDP比)はGCC諸国平均で30%から60%へ拡大しているのに対して、UAEでは45%から90%に拡大していた。株式市場については、対GDP時価総額はGCC全体では2000年の34%から2005年の180%まで増加したが、その後2008年に60%まで減少した。UAE株式市場については、2000年の25%から2005年の160%に増加し、2008年には40%まで減少した。

また、Obay[2012]は上場企業のミクロデータからもGCC企業の資金調達構造について分析を試みている。一般的にUAE企業は他のGCC企業と比較すると、必ずしも企業規模は大きくなく、総資産に占める固定資産も相対的に少ない(表1)。借入による資金調達(特に短期負債)が多い傾向がある。また、これらの負債依存の傾向は、大企業ほど、固定資産が多いほど、そして収益率が低いほど強くなることが報告されている 。

表 1 GCC上場企業の資本構成(平均値、2000-2009年)
0005.png
 
(2)UAE企業グループの構造と内部資金移動

 政府系のドバイ・ワールド・グループは、持株会社ドバイ・ワールド社を頂点とし、海運・ロジスティックス、都市開発、投資・金融サービスに事業を展開するコングロマリットである。傘下に造船所Drydocks World、ドバイのフリーゾーンを統轄するEconomic Zones World、投資会社Istithmar World、そして港湾管理会社DP Worldを有する(図1)。国際的な港湾オペレーターとして台頭しつつあるDP Worldがあげた利益などをドバイ・ワールド社が吸い上げ、グループ関連企業に投資資金として再投資する形でグループは拡大してきた。

図 1 Dubai Worldグループの所有構造

(出所)Dubai World Websiteから筆者作成。

しかし、マクロ環境が悪化し、グループ全体の収益が低下する局面では、グループ内における資金融通が有効に機能するかどうかについて衆目を集めた。ドバイショック直後、ドバイ・ワールド・グループの債務問題は深刻であり、再建の難航が指摘された。2009年11月時点では、ドバイ・ワールド・グループ全体で総額590億ドル債務を抱え、うち260億ドルの債務見直しについて銀行団と交渉開始した。2009年12月にEconomic Zones World傘下のJeber Ali Free Zone Authorityはイスラム債の利子相当支払い4300万ドルを完済するなど自力での債務整理は一部に限られた。

 結果的に、ドバイ・ワールド・グループの債務整理は、アブダビ・ドバイ両政府による金融支援後から軌道に乗り始めた。2009年12月中旬にアブダビ政府は100億ドルの金融支援の発表を行った。200年3月にはドバイ政府からも95億ドルの支援が発表された。それを受けてアブダビ政府からの金融支援のうち41億ドルをNakheelのイスラム債の償還に充当し、2010年5月には期日どおりに全額償還を発表するにいたった。その後、Nakheelは銀行借入21.5億ドルについて期日前に完済することができた(2014年8月)。Nakheelの銀行借入完済について、アブダビ・ドバイ両政府による金融支援が大きな役割を果たしたことはもちろんであるが、近年のドバイの不動産市況が好調で、Nakheelの収益拡大が負債返済に寄与したことも無視できない 。

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 傘下企業の負債整理が進み、収益が回復するにつれてグループ内の資金融通が有効に機能し始める。グループ内資金融通が順調に機能することで、傘下企業の収益を内部資本市場を通じてグループ全体に再投資するというシステムが再び機能することになる。ドバイ・ワールド社は、2010年3月に200億ドル超の債務返済案を発表し同年9月には、総額249億ドルの債務再編について債権者の99%と合意するにいたった。冒頭で述べたように現在、負債の返済スケジュールの再交渉中ではあるが、グループ全体の収益の回復とともに返済計画も進展しつつある。

UAE財閥グループの負債リストラと内部資本市場(2/3)

2. 企業グループ内の資金融通

企業グループもしくは多角化した企業における内部資本市場についての議論は、日本の財閥を初めとして複数の研究蓄積がある。武田 [1993]は、持株会社を頂点とする日本の財閥内の資金配分のメカニズムを「内部資本市場」と定義した。財閥を支配するファミリーは、「出資者」であり「資金供給者」であり、傘下企業から上げられた収益を内部留保し、持株会社を通じて再投資を行う。

武田 [1993]はまた、資本市場の発展と財閥の内部資本市場の補完性についても指摘している。資本市場が株式発行市場だけでなく、流通市場が発達するにしたがって多数の小株主からも資金調達が可能な場所になる可能性を持っている。しかし、資本市場が未発達であり国内の遊休資金を効率的に集積できないような発展途上国では、財閥内の内部資本市場が有効に機能しうる。さらに成長機会の多い発展途上国企業の投資計画はハイリスクかつハイリターンであることが多いが、こうした危険性の高い投資計画のために一般的な銀行部門から資金調達を行うには金利が高騰することが考えられる。したがって、財閥傘下の企業にとっても、財閥内の内部資本市場から低い調達コストで資金を融通することのメリットは大きい。

企業グループにおける内部資本市場の有効性についての実証分析は複数存在する。M&Aによる事業の多角化と内部資本市場との関係を扱ったものにDoukas and Kan[2008]がある。それによれば、成長性の低いコア事業を持つ企業は非コア事業の買収による多角化を行い、コア事業が成長性の高い業界にある企業は多角化につながらない買収を行う。そして、買収による多角化を行う企業では、収益性の低いコア事業から、収益性の高い非コア事業への資金の移転が行われるが、買収による多角化を行わない企業においても、収益性の高いコア事業から収益性の低い非コア事業への資金の移転が行われている。

他方で、グループ企業のように多角化した企業では、経営資源配分の効率性が低く、業績が低いことが指摘されている。Berger and Ofek[1995]は、多角化企業では、収益性の低い事業に経営資源が配分され、内部資本市場の効率が低下し、企業価値の按損が生じる可能性があることを示した。1986-1991年のデータを使った超過企業価値の分析の結果、多角化企業の株式価値は、それぞれの部門と同等な単独企業のポートフォリオに対応した価値よりも13%から15%低かった。そうした企業価値の低下、すなわち 「多角化によるディスカウント」は、トービンのQが低い事業への資本支出額が大きいほど、大きくなる傾向が確認された。この企業の多角化にともなう非効率性は、「非効率的な内部補助 (inefficient cross-subsidies) 」の存在にもとづき説明されてきた(Scharfstein[1998]、Scharfstein and Stein [2000])。企業グループの内部資本市場では、投資機会の少ない部門に資金が流れることで非効率を引き起こすと説明できる。

山田・蜂谷[2009]は、M&Aの実施による内部資本市場の効率性と財務業績の変化を分析した。その結果、M&Aにより内部資本市場の効率が低下するほど財務業績も低下することを示した。同時に、M&Aによって多角化が進むほど内部資本市場の効率が低下すること、 M&Aを実施する前の内部資本市場の効率が高いほど実施後に効率が低下することを結論付けた。さらに M&Aを実施すると、事業の多角化が進み、内部資本市場の効率が低下、結果として財務業績が悪化することが示された。
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じゅん

Author:じゅん
中東経済、企業金融が専門の研究者。UAE・アブダビから帰国しました。
Researcher:Middle Eastern Economy, Financial Development, and Islamic Finance
باحث: الاقتصاد في الشرق الأوسط، التنمية المالية، والتمويل الإسلامي.

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