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【企業】湾岸諸国における商業・法人登記

湾岸諸国のファミリービジネスの研究を進めるうえで、詳細な企業情報は必要不可欠である。各企業の年次報告書や投資家向けのプレゼン資料などを参照することも多い。

以前、ラテンアメリカのファミリービジネス研究者の方から伺った時には、このほかにも各国の「登記所資料」が有用とのことだった。自身の不勉強が原因で「湾岸諸国の登記所」のアイデアを聞いた時にはいまいちピンとこなかった。

そもそも、「商業・法人登記」とは,日本の法務局HPの説明によれば、「会社等に関する取引上重要な一定の事項(商号・名称,所在地,代表者の氏名等)を、法務局の職員(登記官)が専門的な見地から審査した上でコンピュータに記録し、その記録を一般の方に公開することによって、会社等の信用維持を図るとともに、取引の相手方が安心して取引できるようにすることを目的とするもの」である。

大企業でも株式を一般公開している企業もあり、上場企業でも株式の大半が政府に所有されている湾岸諸国の企業にとって、企業情報を積極的に一般公開する動機付けは十分でない。

とはいえ企業情報へのアクセスは部分的に可能ではある。湾岸諸国で国内の企業情報を一括管理している政府機関としては「商工会議所(Chamber of Commerce and Industry)」が思いつく。ドバイの商工会議所では企業情報の照会もできたかと記憶している。

 埋め込み画像 1
<フジャイラ商工会議所2015年5月撮影>

今後、現地調査しながら湾岸諸国の商業・法人登記の照会先をリストアップしていきたい。


【カタル】OITCグループ(OITC Group)

グループ名:  OITCグループ(OITC Group)
主要部門:   建設
グループ総裁: Mohammed Noor Al Obaidly
創設者:
創設年:1978年
支配家族:Obaidly家
(出所)OITC GroupのWebsite(2017年8月31日アクセス)




【カタル】財閥の一覧(整理中)

カタルのファミリービジネスの調査のため、財閥の一覧を整理中。随時加筆していくことにする。

首長家系ビジネスグループ
1.Mannai Corporation(Thani家)
2.Aamal Company(Thani家)
3.Hamad bin Khalid (HBK) Group(Thani家)

民間系ビジネスグループ
1.Jaidah Group(Jaidah家)
2.OITC Group(Obaidly家)→詳細
3.Salam International Investment Limited (SIIL)(Abu Issa家)
4.Buzwair Group(Buzwair家)
5.Mohammed Hamad Al Mana Group(Mana家)
6.Al Muftah Group(Muftah家)

【企業】星野妙子. (2004). 衰退か退化か-岐路に立つ発展途上国のファミリービジネス. In 星野妙子 (Ed.), ファミリービジネスの経営と革新-アジアとラテンアメリカ (pp.3-28). アジア経済研究所.

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【企業金融】企業の資金調達における法人税の影響

モディリアーニ=ミラー定理(基本モデルはこちら)をもとに、企業の資金調達における法人税の影響を考える(奥田・黒柳,1998;pp.62-64)。

新たに法人税(税率τ)が導入されたとする。このとき投資を実施する前の企業価値はV'=(1-τ)Y/r

(1)銀行借入の場合


企業が銀行から名目固定金利Rbで必要資金全額を借入れるとする(借入総額はI)。来期以降の、株主への配当額は(1-τ){Y+ΔY-IRb}となり、現在の株主の保有株式の価値は、Vb'(1-τ){Y+ΔY-IRb}/rb。したがって現在の株主にとっての投資の利益は、

    Vb'-V'(1-τ){Y+ΔY-IRb}/rb(1-τ)Y/r

となる。

(2)増資の場合


来季からの株主への配当金は、(1-τ)(Y+ΔY)なので、現在の株主が保有する株式の価値はVs'=(1-τ)(Y+ΔY)/rs。株主の利益は、株価の上昇額から追加融資による出資額を差し引いた

    Vs'-V'-I=(1-τ)(Y+ΔY)/rs-(1-τ)Y/r-I

となる。

(3)法人税がある場合の資金調達

法人税がない場合と同様に、銀行借入によって投資を賄った場合と増資によって投資資金を調達した場合の企業価値が等しいとすれば Vb'+(1-τ)I=Vs' となり、

    Vb'-V'=Vs'-V'-(1-τ)I=Vs'V'-I+τI

となるはず。しかし、(1)と(2)より Vb'-V' > Vs'-V'-I となり、法人税が高まるほど、銀行借入による資金調達の方が株主にとって有利になる

(参考文献)
奥田英信・黒柳雅明[1998]「開発途上国における企業の資金調達」『入門開発金融-理論と政策』日本評論社、pp.59-72.




【企業金融】モディリアーニ=ミラーの定理

モディリアーニ=ミラーの定理(Modigliani=Millar Theorem)の解説は様々なところでされているが、学生の時に一番理解できたのが奥田・黒柳[1998]の説明。先に結論をまとめておくと、

∴「投資資金の調達方法(内部資金・株式・金融機関借入・社債、、、)に関わらず、株主の得る利益は変わらない」

(1)モデルの仮定

①情報の非対称性が存在しない:資金調達したい企業と資金提供者との間で情報が完全に共有されている。
②完全な資本市場:金融・資本市場は競争的で、株価は企業価値を正確に反映し、金利は対象の収益性とリスクを正確に反映。
③経営と所有の一致:企業は出資者たる株主の利益を最大化するように運営。→株主の目的は保有株式の価値の最大化。

(2)企業価値と資金調達の問題

■毎期一定の営業利益Y(t)=Yをあげる企業を考える。
■企業価値は毎期の利益を市場実質利子率r(t)で現在価値に割引いた合計であるから、市場実質利子率が一定r(t)=rであると仮定すると、今期の企業価値Vは、

V=Y/(1+r)+Y/(1+r)(1+r)+Y/(1+r)(1+r)(1+r)+…=Y/r

■なお、市場実質利子率r(t)には、企業の営業利益の変動を見込んだリスク・プレミアム*1を含む。

*1 債務不履行の危険と資本損失の危険が最も少ない任意の資産と他の資産の市場利子率とを比較すると、後者には余分の危険を負担することに対する報酬部分が含まれている。このような危険負担に対する報酬あるいは補償部分をいう。

■企業の投資規模をIとして、この投資をするために現在の株主は資金調達(増資or銀行借入)を行うとする。
■現在の株主の問題=「どの方法で資金を調達した方が、保有株式の価値がより大きくなるか」

(3)銀行借入の場合

■企業が銀行から名目固定金利Rbで必要資金全額を借入れるとする(借入総額はI)。来期以降の営業利益の増加をΔYとすると、毎期の営業利益は(Y+ΔY-IRb)となり、株主の保有株式の価値Vbは

Vb=(Y+ΔY-IRb)/rb

ただし、投資の実施により企業収益のリスクは変化するので、これに対応して割引率に利用される市場実質利子率もrからrbに変化する。このとき、企業の投資が現在の株主にもたらす利益は、株式価値の増加分に等しいので、

Vb-V=(Y+ΔY-IRb)/rb-Y/r           …(1)

(4)増資の場合

■同額の投資を既存株主の追加出資によって賄う場合を考える。投資による毎期の営業収益の増加はそのまま株式価値に反映され、投資後の株式価値は、

Vs=(Y+ΔY)/rs

ただし、投資による収益リスクの変化を反映し、市場実質利子率もrからrsに変化。このとき株主の利益は、保有株式の価値は、保有株式の価値の増加分から増資額を差し引いたものであるから、

Vs-V-I=(Y+ΔY)/rs-Y/r-I           …(2)

(5)完全な市場の仮定と結論

■市場が完全ならば、投資後の企業の評価額(企業価値)は資金の調達方法にかかわらず同水準になるはず。

    ・銀行借入の場合の企業価値=Vb+I(株式価値+銀行借入額)
    ・増資の場合の企業価値=Vs

■このとき、Vb+I=Vs になるはず。(1)式と(2)式より、

Vb-V=Vs-V-I               …(3)

■したがって、「増資で資金調達しても銀行借入で資金調達しても、株主の利益に差は生じない」

(参考文献)
奥田英信・黒柳雅明[1998]「開発途上国における企業の資金調達」『入門開発金融-理論と政策』日本評論社、pp.59-72.



[日本][企業統治]日本企業の統治構造の問題点

空文化した東芝の企業統治のニュースが出ているが、こうしたことは昔から指摘されていた。

日本の企業統治構造について佐久間[2003]をもとにまとめておく。

■日本の企業間関係の特徴 … 株式相互所有、メインバンク制、役員相互派遣

1. 日本の企業統治の歴史(1990年代まで)
■1992年 証券取引等監視委員会を新たに設置 → 産業界の抵抗で権限・独立性が縮小。
■1993年 商法改正 → 監査役による監査機能強化もあまり効果を上げず。
■近年、外国の機関投資家(1990年代から)や日本の機関投資家(2000年代から)による企業統治活動が活発化?

2. 所有構造と資本市場
■日本の株式会社の所有構造
   ①法人所有比率が高い
   ②大企業間で広く株式相互所有
■日本の資本市場の構造の特徴
   ①経営者間の乗っ取りや敵対的買収を嫌悪
   ②経営者が乗っ取り防止策としての安定株主作り
   ③資金調達に占める間接金融の比率が高かったため「市場の規律」が働きにくい。
   ④金融市場に占める公的部門の比重が大きい。

3. 機能していない統治機関
■株主総会 … 非民主的な運営、多数の株主とのコミュニケーション不足
■日本企業の監査役 … ほぼ機能していない。監査役の人事権を実質的に社長が掌握しているため。内部昇進がほとんどで社内の役員中での序列も相対的に低かった。
■取締役会 … 業務執行とそれに対する監視の2つの機能が未分離。取締役の中に序列が形成。社外取締役が少ないこと、取締役会の構成人数が多いこと、取締役会のメンバーの多くに部門管理者が含まれること
■取締役と監査役の事実上の選任権を握っているのは経営者。

【参考文献】
佐久間信夫[2005]「日本の企業統治構造」佐久間信夫(編)『企業統治構造の国際比較』ミネルヴァ書房、第1章。
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UAEにおけるコーポレート・ガバナンス

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国際会計基準について下調べ

企業会計について勉強するために、国際会計基準についての情報ソース(IAS Plus)にアクセスしてみた。

IAS Plusとは、国際財務報告標準(International Financial Reporting Standards、IFR)*1、国際会計基準理事会(International Accounting Standards Board、IASB)*2と国際的な会計検査の発展に関するニュースとリソースの広範囲なコレクション。

登録すると、以下にアクセスできる;

  • A news page (updated almost daily), as well as an archive of past news
  • An extensive library of global and member firm publications
  • A comprehensive and independent record of meetings of the International Accounting Standards Board, IFRS Interpretations Committee and other related bodies
  • Summaries, analysis, history and resources for International Financial Reporting Standards, International Accounting Standards, IFRIC Interpretations, SIC Interpretations, and other pronouncements
  • A listing of active, past, and research projects of the International Accounting Standards Board (IASB) and the IFRS Interpretations Committee
  • Summaries of financial reporting requirements, use of International Financial Reporting Standards and other updates by jurisdiction
  • A resource library of important information relating to International Financial Reporting Standards
  • Deloitte IFRS e-learning:A leading educational and training resource on IFRS, with over 5.6 million modules downloaded to date
最新ニュースについてはRSSも発行されていたので、あわせて導入した。中東諸国の会計基準についてまとめる予定。先行研究にはNaciri[2011]がある。

*1 国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards、IFRSs、IFRS)とは、国際会計基準審議会(IASB)によって設定される会計基準である。国際会計基準(International Accounting Standards、IAS)は、IASBの前身である国際会計基準委員会(IASC)によって設定された会計基準である。国際財務報告基準は、国際会計基準を含む総称として広義で用いられることもある(Wikipedia)。
*2 国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board、IASB)は、国際会計基準委員会財団(IASC Foundation)に設立された独立民間非営利の基準設定機関である。2001年(平成13年)4月に国際会計基準委員会(IASC)を組織改正する形で設立された。所在地はロンドンである。国際会計基準審議会は、公益に資するよう、一般目的財務諸表において透明性があり比較可能な情報を提供する、高品質かつ国際的な会計基準の単一のセットの開発を使命とし、国際会計基準および国際財務報告基準の作成をおこなっている(Wikipedia)。

中東北アフリカにおける企業統治システム

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じゅん

Author:じゅん
中東経済、企業金融が専門の研究者。UAE・アブダビから帰国しました。
Researcher:Middle Eastern Economy, Financial Development, and Islamic Finance
باحث: الاقتصاد في الشرق الأوسط، التنمية المالية، والتمويل الإسلامي.

■プロフィール詳細はこちら(Curriculum Vitae)
■研究成果の詳細はこちら
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